スペインでPOSレジ(スペイン語ではTPV)を選ぶときに最も大切なのは、ベンダーがVerifactuの適合宣言書を書面で出せるかどうかです。期限がどうなっても、請求書発行ソフトウェアの技術ルールはそのまま残るからです。現行法では、法人は2027年1月1日より前に、個人事業主などその他の事業者は2027年7月1日より前に対応システムを使う必要があり、2026年10月5日にスペイン財務省(Ministerio de Hacienda)がこれを2028年10月に延期する計画を発表しましたが、まだ公布されていません。このガイドでは、スペインで飲食店や小売店を営む方に向けて、規則がレジに求めること、現在のスケジュール、確認すべき機能、切り替え前にやるべきことを説明します。
要点
まず書面の適合宣言書(declaración responsable)を求め、それから機能を比べましょう。現行法の期限は2027年で、法人は1月1日より前、個人事業主などは7月1日より前です。政府は2028年10月への延期を予定していますが、まだ官報(BOE)には掲載されておらず、技術要件も実質的に変わりません。今買う対応システムは、最終的にどちらの期限になっても使えます。飲食店はテーブル管理、キッチン伝票、仮伝票を、小売店はバーコード、在庫、はかりを重点的に確認し、どの業種もデータを会計担当者にきれいに渡せるかを確かめてください。
VerifactuがPOSレジに求めること
Verifactuは、レジが発行するすべてのレシートについて、改ざんできず追跡可能な記録を残すことを求めています。「Verifactu」は、スペインの請求書発行システム規則(Reglamento de sistemas informáticos de facturación)の通称で、2021年の脱税防止法(Ley 11/2021)に基づき、勅令1007/2023(Real Decreto 1007/2023)で承認されました。通常の請求書と簡易請求書(factura simplificada)の両方が対象で、レジのレシート(ticket)は通常、簡易請求書にあたります。POSレジにとっては、次の5つを意味します。
- レシートごとに1件の記録:システムは、レシートを発行するたびに請求記録を作成します。各記録にはデジタル指紋(ハッシュ値)と直前の記録のハッシュ値の一部が含まれ、鎖のようにつながるため、どの記録を削除・変更しても検出できます。
- 売上の削除・修正はできない:誤りは新しい取消記録や訂正請求書(factura rectificativa)で直し、元の記録はそのまま残ります。売上の削除、金額の変更、二重帳簿ができるシステムは、それ自体が禁止されたソフトウェアです。
- すべてのレシートにQRコード:どちらのモードでも必須です。お客様はQRコードを読み取ってレシートの主要データを税務当局に送ることができ、VERI*FACTUモードでは、税務当局がそのレシートを受け取ったことも確認できます。
- 2つのモードのどちらか:VERI*FACTUモードでは、システムが各レシートの記録を即時に税務当局(AEAT)へ送信します。もう一方のモードでは、記録は自社のシステム内に保存され、1件ごとに電子署名を付けてイベントログで裏づけ、税務当局から求められたときに提出します。VERI*FACTUを選んだ場合は、少なくともその年の12月31日まで続ける必要があります。
- ベンダーの適合宣言書:ソフトウェアを製造する企業は、適合宣言書(declaración responsable)によって規則に適合していることを証明しなければなりません。宣言書はシステム内で確認でき、購入時に顧客に渡されます。AEATの説明では、これは自己宣言であり、第三者による認証や事前の登録は必要ありません。
税務当局のVerifactuのページ(英語)には、規則、よくある質問、無料の請求書発行アプリがまとまっています。義務の全体像、2つのモード、請求業務の流れについては、Verifactuと電子インボイスのガイドをご覧ください。
Verifactu対応レジはいつまでに必要か:現行の期限
現行法では、法人税を納める会社は2027年1月1日より前に、その他のすべての事業者は2027年7月1日より前に、対応システムを使う必要があります。
| 事業の形態 | 現行の期限 |
|---|---|
| 法人税を納める会社(S.L.、S.A.など) | 2027年1月1日より前 |
| 個人事業主(autónomo)、共同財産体(C.B.)など所得帰属課税の団体、スペインに恒久的施設を持つ非居住者 | 2027年7月1日より前 |
これは、勅令法15/2025(Real Decreto-ley 15/2025)で改正された勅令1007/2023(スペイン語)に定められた日付です。規則は当初2025年7月から適用される予定で、すでに2回延期されています。
最新情報:2026年10月5日、スペイン財務省は、未施行の義務を2028年10月まで延期する計画を発表する通知(スペイン語)を公表しました。年間売上高800万ユーロ以下の事業者に電子インボイスが義務化される時期に合わせるためです。通知は、完全性、改ざん不可能性などの技術要件は実質的に変わらないとも述べています。本記事の執筆時点では延期は官報(BOE)に掲載されておらず、法律上の期限は引き続き2027年です。POSレジを選ぶ立場から見れば、結論はシンプルです。法律は2027年、計画は2028年、要件は同じなので、今のうちに対応システムを買いましょう。
次の事業者には規則が適用されません。
- VAT(IVA)の帳簿を即時情報提供制度(SII)で提出している事業者。
- 納税地がバスク州またはナバラ州にあり、各地域独自の税制で課税される事業者。バスク州の3県は独自のTicketBAIを使い、ナバラ州は独自の税務当局がルールを定めています。基準になるのは店舗の所在地ではなく納税地です。
- すべての請求書を手書きで作成している事業者。IVA簡易課税制度と等価課税(recargo de equivalencia)については、下のよくある質問をご覧ください。
罰金は定額です。税務基本法第201条の2(スペイン語)により、必要な適合宣言書のない請求書発行システムや改ざんされたシステムを保有すると1会計年度あたり5万ユーロ、非対応システムを製造・販売すると、販売があった会計年度ごと・システムの種類ごとに15万ユーロが科されます。
スペインでPOSレジを選ぶときの8つのチェックポイント
まず規則への適合を確認し、それから自分の業種に必要な機能を確認します。
- 書面の適合宣言書:営業担当者にVerifactuの適合宣言書(declaración responsable)を求め、購入するバージョンが対象になっているかを確認します。書面で出せないなら買わないでください。期限後、非対応システムを保有していることによる罰金は利用者に科されます。ベンダーにはベンダー向けの罰則があります。
- 対応モードとオフライン時の動作:VERI*FACTUモード、ローカル保存モード、またはその両方に対応しているかを確認します。VERI*FACTUモードにはインターネット接続が必要ですが、AEATのよくある質問によれば、接続や税務当局のサービスに障害が起きても通常どおり請求書を発行でき、復旧後にシステムが記録を送信します。レジが複数台ある場合は管理方法も確認しましょう。独立してレシートを発行するレジは、それぞれが自分の記録の鎖を持ちます。
- 画面の言語とサポート:スタッフが仕事で使う言語でシステムを操作できるか、また自分が話しやすい言語のサポートを営業時間中に受けられるかを確認します。
- 飲食店向けの機能:テーブル管理(開始、結合、移動)、品目を持ち場(温かい料理、寿司カウンター、ドリンクなど)ごとに振り分けるキッチンプリンターやキッチンディスプレイ、レシートにはスペイン語の品名を印字できる多言語メニュー、セットメニュー・追加オプション・ハーフサイズ。仮伝票も確認しましょう。AEATの説明では、支払い前にお客様に見せる伝票にQRコードは付きませんが、POSレジと結びついたシステムから発行し、記録として保存し、最終的なレシートとひも付ける必要があり、そうしないと罰則の対象になり得ます。
- 小売店向けの機能:バーコード読み取り、商品の一括登録、在庫数の管理と在庫僅少アラート、複数店舗の管理。はかりを使う場合はAEATの見解に注意してください。重さを量るだけで、価格はレジに手入力するはかりは請求書発行システムではありません。品目を合計してレシートを自ら印刷するはかりは請求書発行システムにあたり、規則に適合する必要があります。
- デリバリーとカード決済端末との連携:Glovo、Uber Eats、Just Eatで注文を受けているなら、別々のタブレットで処理せずに、注文をそのままPOSレジに取り込めるかを確認します。取引銀行のカード決済端末(datáfono)や、Bizum、スマホ決済(モバイルウォレット)などお客様が使う支払い方法に対応しているかも確かめましょう。プラットフォーム自体の比較は、スペインのフードデリバリー・プラットフォームのガイドをご覧ください。
- ゲストリア(gestoría、税務・会計の代行事務所)向けのレポートとエクスポート:日次・月次の売上、VAT(IVA)の内訳、決済方法別の合計を、ワンステップでエクスポートできるべきです。規則自体も、請求記録を読み取り可能な電子ファイルにエクスポートできることをシステムに求めています。
- データの所有権、アップデート、契約条件:支払いをやめても履歴をエクスポートできますか。月額サブスクリプションか買い切りか、ハードウェアはレンタルか購入か。契約期間はどれくらいで、中途解約に違約金はありますか。今後の制度変更に合わせたアップデートは料金に含まれていますか。
既製のPOSレジ・オーダーメイド・税務当局の無料アプリの比較
単店舗や一般的な飲食店なら、Verifactuに対応した既製のPOSレジで十分です。卸売倉庫、複数店舗、自社の注文アプリも運営しているならオーダーメイドのシステムを検討する価値があり、税務当局の無料の請求書発行アプリはレジの代わりになりません。3つの選択肢を同じ項目で比べると次のとおりです。
| 比較項目 | 既製のPOSレジ(SaaS) | オーダーメイドのシステム | AEATの無料請求書発行アプリ |
|---|---|---|---|
| レシート(簡易請求書)の発行 | できる | できる | できない(顧客情報入りの通常の請求書のみ) |
| 向いている事業 | 単店舗、一般的な飲食店・小売店 | 複数店舗、卸売と小売の兼業、独自の業務フロー | 発行枚数が少なく、すべて通常の請求書の事業者 |
| 費用の構造 | 月額サブスクリプション、初期費用は低め | 初期の開発費、その後はサーバー費用と保守費 | 無料 |
| 柔軟性 | ベンダーが用意した機能のみ | 倉庫、卸売、ポイント制度、アプリと連携できる | 基本的な請求書発行のみ |
| 適合宣言書 | ベンダーが発行 | 開発会社が発行(自社開発の場合は自社が発行) | 税務当局が提供(VERI*FACTUシステムとして運用) |
| データ | 契約で認められる場合のみエクスポート可 | 自社のもの | アプリ内でのみ管理され、別のシステムで請求を続けるために記録をエクスポートすることはできない |
AEATの無料アプリの利用ガイドには、発行できるのは通常の請求書だけで、すべての請求書に顧客情報が必要であり、簡易請求書(レシート)は発行できないと書かれています。そのため、来店客を相手にする飲食店や小売店には、自前のPOSレジが必要です。オーダーメイドとパッケージのソフトウェアの一般的な選び方は、ERP・CRMはスクラッチ開発かパッケージ(SaaS)かで解説しています。
POSレジを切り替える前のチェックリスト
POSレジを切り替える前に、次の6つのステップを進めてください。
- 今のベンダーに確認する:今のレジが対応版にアップデートされるか、追加費用がかかるかを聞きます。
- 機器を洗い出す:レジ、キッチンプリンター、カード決済端末、はかりと、利用中のデリバリープラットフォームを一覧にします。
- ゲストリアに自社の状況を確認する:法人か個人事業主か、所得税は直接見積方式か客観的見積方式(módulos)か、IVAは一般課税・簡易課税制度・等価課税のどれか、納税地はどこか、どの期限が適用されるか。
- 2〜3社を比較する:各社に書面の適合宣言書、必要な言語でのサポート、データのエクスポート方法を求め、それらを契約書に明記します。
- 閑散期に切り替える:先にスタッフを研修し、新しいシステムを数日間テストしてから切り替えます。
- 古いシステムを廃止する:履歴をエクスポートして保管し、アンインストールするか請求書発行機能を無効にします。AEATのよくある質問によれば、期限後は、請求書を発行できる非対応システムを保有しているだけで違反になります。
よくある質問
手書きやExcelで請求書を作っている場合も、新しいPOSレジは必要ですか?
手書きの請求書は規則の対象外で、AEATによれば、WordやExcelを請求書の入力・印刷・保存だけに使う場合も請求書発行システムにはあたりません。ただし、マクロや数式でVATの帳簿や会計記録を直接作成している場合は、そのスプレッドシートが対象になり、規則に適合させる必要があります。
レジから簡易請求書(レシート)を印刷するなら、対応システムが必要です。詳しくはAEATの対象者に関するよくある質問(英語)で説明されています。
古いレジスターは買い替えずにアップデートで対応できますか?
メーカー次第です。AEATは、可能であれば既存のレジスターを改修するか、対応した請求書発行システムを購入するかのどちらかで対応できるとしています。
規則はソフトウェアとハードウェアをまとめて請求書発行システムとして扱うため、古い単体型のレジスターはアップデートできない場合があります。プリンター、キャッシュドロワー、画面を再利用できるかどうかは、新しいシステムがそれらに対応しているかによります。まずは今のベンダーに、対応版があるか、費用はいくらかを確認してください。
Verifactuモードでは、税務当局にすべての売上が見えるのですか?
税務当局はすべての請求書とレシートの請求記録を受け取ります。Verifactuモードでは、システムが各記録を即時に税務当局へ送信し、そこには事業者の税務識別番号(NIF)、レシートの番号と日付、合計額、課税標準、VAT税率、VAT額が含まれます。
もう一方のモードでは記録は自社のシステム内に残りますが、1件ごとに電子署名とイベントログによる裏づけが必要で、税務当局から求められたときに提出します。AEATのよくある質問は、記録を何年も保存する責任がなくなるため、VERI*FACTUモードのほうが使いやすい場合があるとしています。一度VERI*FACTUを選んだら、少なくともその年の12月31日まで続ける必要があります。
IVA簡易課税制度や等価課税の事業者も、Verifactu対応のPOSレジが必要ですか?
必ずしも必要ではなく、請求書を発行する義務があるか、発行にソフトウェアを使うかによります。IVA簡易課税制度(régimen simplificado)の事業者(所得税の客観的見積方式、通称módulosと組み合わされることが多い)や等価課税(recargo de equivalencia)の事業者は、原則として一般の消費者に請求書を発行する必要がなく、ソフトウェアで請求書や簡易請求書を発行しないなら規則は適用されません。
ただし、事業者の顧客や、税務上の権利を行使するために請求書を求める顧客には請求書を発行しなければならず、ソフトウェアで請求書を発行する場合は、任意であってもシステムが規則に適合している必要があります。所得税が直接見積方式(estimación directa)の個人事業主は、IVAの制度にかかわらず請求書を発行しなければなりません。小売店を営んでいる場合は、どの制度が適用されるかをゲストリアに確認してください。
UsualMatrixは、現在お使いの機器の確認やVerifactu対応POSレジの比較を行うほか、複数店舗や卸売・小売を兼ねる事業者向けに、デリバリープラットフォームやネットショップと連携するオーダーメイドのPOS・在庫・ポイントシステムを開発しています。やり取りは中国語・スペイン語・英語で行います。アプリ・システム開発サービスをご覧いただくか、お問い合わせください。
重要:本記事は2026年10月7日時点の一般的な情報であり、税務・法律上の助言ではありません。期限は今後も変更される可能性があり、官報(BOE)と税務当局(AEAT)が公表する公式の文書が優先します。ご自身の義務については、ゲストリア(gestoría)にご確認ください。
次のステップ
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